平成30年9月12日に開催したレゾナンスCafe Vol.025「地から湧き、天から浴びる」の開催報告です。株式会社地湧社代表取締役社長 増田圭一郎さんにお話しいただきました。
地湧社はシャーリー・マクレーンの「アウト・オン・ア・リム」やパウロ・コエーリョの「アルケミスト」、真弓定夫の「自然流育児のすすめ」、覚和歌子の「ポエタロ」などをヒットさせた出版社です。
地湧社の創設時、前代表は「今、人々と世界が甦るために必要なのは、汲み置きの水でなく、地から湧きたての生きた水です。それを呼び水として励まし合い、ついには自分自身の井戸を掘り当て、人間には想像以上の深い智恵があるのだと気づくことができたら、どんなに素晴らしいことでしょう。この姿を象徴して「地湧」という名前が生まれました」と宣言しました。1982年のことです。以来、地湧社という社名がコンセプトを表現してきました。
現代は時代の転換点にあるといえるでしょう。それはデジタルによるメディア革命です。1980年代までは活版印刷が主流でした。1450年にグーテンベルグによって発明された印刷技術を600年近く発展させ続けてきたのです。そのおかげで人々のあいだにたくさんのコンテンツが流れ、人々をいろんな意味で教化しました。その中心が出版文化だったのです。
ところがあらゆるものがデジタル化されるようになり、ついに紙から電子に、単方向から双方向に、文字から映像・画像・音のメディアミックスへと変化しました。それはメディアの変化だけではなく、受け手をも変化させました。若い人たちの多くは長い文章を苦手とし始めたのです。情報の授受も親しい人間とのあいだで密接におこなわれます。出版の本質とは何かを問われる時代になりました。
そこで地湧社は時代の要請に従い、メールマガジンを発行することにいたしました。「ひとつ」というタイトルのテキストマガジンです。
http://jiyusha.co.jp/top/?p=1030
テーマは「自覚の時代は始まっている」というものです。
「自覚の時代」とは何かですが、20世紀はメディアの時代でした。メディアが発達することで、社会やかつての思想から解き放たれ、当時の文化文明から得られる知識以上の「いのち」からくる智慧に到達する人たちが現れるようになりました。そのような人たちを地湧社の設立趣意書で「自覚の人」と呼び、そういう人たちの話を出版し、そのような人たちから学び、多くの人が「自覚の人」となることを応援してきたのです。現代ではそのような人たちがかつてより増え、そのような人たちと連携することで新しい文化を生み出そうと考えています。
今年から来年にかけて力をいれているのは「パンスペルミア説」です。これは私たちの遺伝子が宇宙からやってきて、現在も宇宙から降り注ぐウィルスによって生物の遺伝子が少しずつ書き換えられているという説です。この説の入門書が『YouもMeも宇宙人』であり、パンスペルミア説がどんな可能性をもたらすかについて書かれているのが『宇宙経済(E=M)入門』です。もうすぐコンビニ書籍として『超入門・生命起源の謎』が出版されます。
これからの時代は劇的にパラダイムが変化するでしょう。「グローバルブレイン」から「限界費用0社会」へ。「グローバル」から「ローカル」へ。「貨幣経済」から「いのちの経済」へ。大脳知を越えて不可分一体の「いのちの世界」へ。あらゆるものが偏在する世界から「共鳴・共有する世界」へと。そのとき人々は「自覚の人」となっていくのです。「conscious」と「aware」の区別が細密につくことでどちらか一方の「気づき」ではなく、双方を含んだ非二元的知覚が始まるのでしょう。