◯対処療法のでの依存体質化
問題があると、誰でもすぐにその症状を抑えようとします。
本当は、症状を引き起こしている真の原因を特定しなくてはなりません。それは別の場所にあって、目に見えないことも多いのです。
対症療法が優先されるようになってきたのは、すぐに効果を出し、痛いなら痛みの症状を和らげます。まわりも、そうして助けられることで救われるのです。わかりやすいし、評価されます。
すると、誰も反対できなくなり、実行しやすくなるのです。
これは、医療に限らず、政策ほか、あらゆる問題に通じます。
例えば、貧しい人にはお金をあげるというのが、対処療法の典型的な例です。
これに対して、反対する理由は出てこないのです。
ところが、お金をあげたら解決にならないのです。長期的に見ると、さらに悪くなっていくことが多いです。援助に対して依存していくからです。
◯根本的問題への原因探究
根本的な問題は、複雑で、その本質を捉えるのは、時間がかかるものです。
原因は、複合的なことが多く、ひとつに特定できることは、ほとんどないのです。
解決法もわかりにくく効果も上がりにくく、そのために評価もされにくく、誰も目を向けてくれないことになりがちです。
本質的なことは、意外と部外者などがみると直感的にわかるのですが、一度、その組織の中に入ると、それを伝えたり証明したりすることは、簡単にはできません。第三者に権限を与え、チェックさせることが必要なのは、そのためです。
根本原因を求めるためには、答えを見つけるのではなく、問い直すことです。
正しく設問するのです。
なぜなら、問題を意識することが、現実を、自分が見る社会を作り出しているからです。
問題のセッティングそのものが、自分やこれまでの見方にとらわれているからです。
それを外して、その前提から疑うのです。
◯現状維持を打破する
対症療法のように短期的な成果だけで評価されると、そういう人たちが中心になって権力を握っていき、それが絶対的な権威になっていきます。誰も異議を唱えられなくなります。誰もが自分の意見をまわりの出方をみて、合わせるようになります。
他人の気分を害してマイナスになるのであれば、同調するでしょう。よくない誘いにも断ることができなくなります。まわりの人とのつながりが切れてしまうからです。
これでは、人は、個性を発揮しにくくなり、切磋琢磨もできず、挑戦や失敗の機会を奪われることになります。周囲から浮き上がることを恐れては、何もできなくなるのです。現状維持が鉄則となり、同調圧力で問題はないことになります。
異なる意見や新しい見解に大いに耳を傾けましょう。そういう人がいたら支えましょう。
優れた医師は、患者を甘やかしてダメにしないように、厳しい対処を迫るものです。